青山幼稚園からのお知らせ

幼稚園からのお知らせです。

園長先生から4月のメッセージです。「ともにつむぎだす」

ともにつむぎだす

園長 村上義治

 ホームスパンという言葉は皆さんになじみの言葉だと思います。ホームスパンで作られた衣類をなにかお持ちでしょうか。私は、盛岡にいるものとして高価格ですが記念に10年前にジャケットを手に入ました。柔らかく暖かく軽くて寒さを乗り切るには最適です。

 今年度保育主題は「ともにつむぎだす」です。「(つむぐ)とは、綿や繭を錘にかけて繊維を引き出し、縒りをかけて糸にする。」と説明されています。これを英語でspinといいます。そしてその糸を織り込んで布を作ることがスパン(span)です。

 実はホームスパンは、明治時代イギリスから日本の寒く貧しい地域に宣教師等を通して生活向上のため紹介された産業でした。しかし現在それが引き継がれているのは、ここ岩手県のみです。羊毛を紡いで製品にするのは、手間と忍耐が必要なためだと言われています。たといそうであってもその製品の持つ風合いは、どんな化学製品でも代替えできないと確信し、伝統的な業を継承しておられる岩手の職人の心意気に脱帽するばかりです。そして今や岩手のホームスパンは、世界の名だたるファッション界のデザイナーの垂涎(すいぜん)垂涎の的(何としても手に入れたいと熱望するもの)となっています。

 最初に述べましたように紡ぐとは綿や繭から糸を作ることです。つまり原材料から引き出す行為です。実は教育はエジュケートというラテン語がもとになっています。意味は「ひきだす」です。本来その子(人)がもっているものを引き出す行為です。その子にないものを詰め込む事でなく、本来もっている良いものを引き出していく、ここに教育の本来の使命があります。

 つむぐという行為は、つむぐ人がいて初めて成り立つことです。年主題「ともにつむぎだす」となっています。自分で自分を紡ぐことは出来ません。誰かが自分に関わって初めて自分が紡ぎだされます。ですから「ともに」となっています。親が子と共にいることは、親子がともに紡ぎ出され役立つものとなっていくということです。園では教師と園児ですが、どちらもが紡ぎ出される関係です。そしてお互いが成長していきます。さらに園児は園児同士さらには環境との出会いを通して紡ぎ出されその育ちを豊かなものにします。加えて当園はキリスト教保育を標榜するものですが、見えないものとの出会いで紡ぎ出してくださる方がさらに加わるということです。一人の人がいろんな出会いを通していくつもの糸に紡がれ、それが織り合わされて布地となった模様。また一人一人の糸が織られて見える景色。迎えました新年度が楽しみです。どうぞよろしくお願いします。

 May God Bless YOU!